
製造管理の日程・WF・文書を
Atlassian Cloud で一元化
i-PRO株式会社が、QMS(ISO9001)に対応したPLM/PDM領域の開発マネジメントシステムを、約9ヶ月で Jira・Confluence に再構築。推進メンバー4名に、リプレイス後の変化と今後の展望を伺いました。
*本記事はインタビュー実施時点(2023年6月時点)の情報です。%20(1).png?width=2000&name=PLM%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E7%94%BB%E5%83%8F1%20(1)%20(1).png)
この事例のポイント
- 企業
- i-PRO株式会社(製造業・メーカー/従業員1,300名)コーポレートテクノロジー エンジニアリングマネジメントサービス
- 製品
- Jira Cloud / Confluence Cloud / Jira Service Management Cloud
- 課題
- パナソニックからのカーブアウトに伴い、QMS対応したPLM領域の文書・日程管理システムを約9ヶ月という短期間で自社システムとして再構築する必要があった。
- 解決
- Jira・Confluence で日程管理・ワークフロー管理・文書管理を一元化。APIや自動化を活用して管理を効率化。
- 成果
- クラウド化でグローバルでのワークフロー回付が可能に。ローコード/ノーコードで改善のハードルが下がり、カンバンで全プロジェクトの進捗が一目で把握できるように。
企業概要
| 会社名 | i-PRO株式会社 |
|---|---|
| 業種 | 製造業・メーカー |
| 従業員数 | 1,300名 |
| 事業内容 | セキュリティ・医療・産業分野向け機器・モジュールの開発、製造、販売 システムインテグレーション、施工、保守、メンテナンス及びこれらに関するサービスを含む各種ソリューションの提供 |
| 対象部門 | コーポレートテクノロジー エンジニアリングマネジメントサービス |
| 導入製品 | Jira Cloud / Confluence Cloud / Jira Service Management Cloud |
i-PRO株式会社(以下、i-PRO)は、2019年10月にパナソニック株式会社からカーブアウトした新会社であり、大規模にシステムを刷新することになりました。アトラシアン製品を活用した社内システム実現のために、INNOOVのアトラシアン製品導入支援コンサルティングの利用をスタート。
PLM(製品ライフサイクル管理)/PDM(製品情報管理)領域で技術文書と日程の管理をしているQMS対応の開発マネジメントシステムがあり、これを自社のシステムとして再構築する必要がありました。開始から約9ヶ月間という短期間で、同じような仕組みを Atlassian 製品で再構築しました。
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インタビュイー紹介
i-PRO株式会社のエンジニアリングマネジメントサービスの松本様、嶺岸様、出口様、ビジネスプロセステクノロジーセンターの岡田様と、INNOOV 小西によるトークセッションです。
エンジニアリングマネジメントサービス / マネージャー
技術管理サービスを担当。社内の業務管理ツール・システムについて技術者をサポートし、技術管理システムの運用・管理(ユーザー管理やワークフローのメンテナンス等)にも取り組む。
エンジニアリングマネジメントサービス / シニアエンジニアリングマネージメントスペシャリスト
開発管理、開発進捗管理を担当。新製品開発のデザインレビューや日程会議など、開発の上流で技術者と連携する開発支援を行う。商品企画の決裁ワークフローのメンテナンスも対応。
エンジニアリングマネジメントサービス / シニアエンジニアリングQMSスペシャリスト
QMS(品質マネジメントシステム)に関する技術側での品質行政サービスを提供。全体的な運用を管理し、技術全般のフォローをしている。
ITインフラ & 情報セキュリティ / マネージャー
社内インフラ全般を担当。Atlassian製品のほか、PC、社内LAN、リモートワークのネットワークアクセス、基幹系ソフトウェアの運用メンテナンス等を担う。技術部門内の業務改善にも取り組む。
構築したシステムについて
今回Atlassianで構築したシステムは主にどのユーザーが、どれくらいの規模で利用されていますか?
技術のメンバーは全員ですね。開発に関わるようなドキュメントの管理や日程管理のメール配信をしているので、主にはその技術メンバーということになります。日本のメンバーという意味だと600名程で、あとは蘇州(中国)のメンバーも何名か見ているので、600〜700名程になると思います。
ユーザーは技術の方々なんですね!
(技術メンバーが)メインではありますが、開発の中で特定のイベントを経て製品をリリースしますというような日程情報も含まれるので、その関係者(営業など)も参照することがありますね。
このシステムはPLMという広義のシステムの中で、どのような機能・役割を果たしていますか?
大きく2つあります。一つ目が日程の見える化です。QMS的に品質管理の方で定義をしている「イベント」、開発のステップのようなものがありますが、どのタイミングで会議やイベントがあるのかといった日程の見える化をするということです。
そして二つ目が、それに関連した文書の管理をするドキュメント管理です。その中で、ドキュメントの承認やイベントの承認がありますので、そこではJiraを活用して、ワークフロー機能を実現して運用しております。
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日程の見える化と、それに関連した文書の管理。承認はJiraのワークフローで運用しています。
PLMではBOM(Bill Of Materials; 部品表・部品構成表)などのシステム/仕組みがメインになると思いますが、そことの棲み分けはどのように考えていますか?
今時点では、PLMの製品情報管理というのは別にシステムがあります。そのシステムでは工場に引き継ぐ内容や、BOMの情報などを管理しています。一方で、Atlassian製品を使っているシステムでは、開発をしていく中で発生する開発ドキュメントを管理しています。
部品表と関連付けが必要なドキュメント(例:製造規格書・部品の仕様書)は別の仕組み(PDMシステム)を使って工場に内容を引き継ぎ、各イベントに対して作成したその他のドキュメントは、このアトラシアン製品を利用したシステムで管理をする、そういった棲み分けになっています。
そのシステムが管理している文書の量や製品数などの規模感は?
平均すると、だいたい20テーマ(プロジェクト)前後ぐらいが常に動いてると思います。各テーマの下に平均10品番、最近だと30品番程あるので、20×30=600品番程の文書を管理しているという感じになるかと思います。
大体一つの工程で、5〜20の文書を扱うことになりますね。プロジェクトの大小によって何工程分の文書情報をこのシステムに入れるかは様々ですが、5〜10の工程を1プロジェクトあたりでやりますので、その掛け算といった感じでしょうか。
またこのシステムはある意味「品質記録文書」という形で扱っておりますので、公的な機関での監査などでも使わせていただいています。100、500もの重要な文書を1プロジェクトで管理していると考えてよいかと思います。技術法規などの法規関連の非常に重要な文書をここで管理しています。
重要な文書が全部集約されているということなんですね。今回構築したシステムは本当に重要な役割を担っているのですね。
そうですね。神様ファイルといいますか、「承認されたものはここに入っています」というように説明できるので、ISO9001*の監査対応などでそこを使っています。
*ISO9001:国際標準化機構が発行した品質マネジメントシステム(QMS)の規格。品質の高い製品やサービスを提供するための仕組みを構築・運用し、適切に管理していることを証明する認証。参考:日本品質保証機構(JQA)
年に1回 ISO9001の定期監査があり、必要に応じて随時見せています。エビデンスの提示を求められた際に、必ずこのシステムを経由して文書を取り出して見ていただくという運用になっているので、監査対応においても重要な役割があります。
「承認されたものはここに入っています」と説明できる。ISO9001の監査対応でも、この“神様ファイル”を使っています。松本 和也 氏 / i-PRO株式会社 エンジニアリングマネジメントサービス
Atlassian導入による変化
従来のスクラッチシステムからAtlassian製品にリプレイスされたことで、どのような変化がありましたか?
個人的には、クラウドになったことで、日本で構築したシステムであっても例えばアメリカの現地の方々がそのシステム上でワークフローを回付して合議をするといった、従来できなかったグローバル利用が実現したことは非常に大きいと思います。今後EMEAやAPACなどの現地の方々も責任者として商品の出荷認定に合議していく形になれば、さらにクラウドの力を発揮するのではないかと思います。
グローバルで、リアルタイムで回付・承認をしていける仕組みにしていくということですね。
クラウドになったということは大きいと思いますね。前のシステムは完全にオンプレミスでの仕組みだったので。
従来のシステムではイントラネットやVPNに接続しないとアクセスできなかったということですか?
はい。
さらにいうと、フルスクラッチ*で自分たちでシステムを作っていたので、新しいOSや新しい仕組みについていくのが困難であったり、定期的にバージョンアップがあったりしました。日々、世の中と同じペースでシステムがアップデートしていくという点においても、この差はすごく大きいと感じています。
*フルスクラッチ:ソフトウェアやシステムを、既存のコードやアプリケーションなどを利用せずにゼロからつくりあげること
確かにクラウド製品は、バージョンアップや機能アップデートなどのアップグレード作業を自分たちでやらなくて済むというのは非常に良い点ですね。
世の中がIEからChromium系にガラッと変わった時は、前のシステムでは大打撃だったと思うんですよ。そういう点で安心して使っていけるのは、クラウドはかなり違うと感じています。
最近でてきたConfluence Cloudの「データベース機能」とかも、普通のスクラッチだとなかなかアップデートってないと思うんですよね。活用できるかどうか検証がいるとは思いますが、どんどん新しい機能が入ってきて使いやすくなっているので、是非サポートをお願いしたいと思っています。
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どんどん新しい機能が入ってきて使いやすくなっている。スクラッチではなかなか得られない変化です。
全力でサポートしてまいります!クラウド製品は「勝手に」アップデートされていくため、「今までの仕様が勝手に変わるのはどうなのか」という声もある中、御社では「新しい機能が出てくるから、それらを活用していこう」という受け取り方をされているのがすごくいいなと思っています。
新機能をすぐ業務プロセスで活用するのは非常に難しいことです。そこは僕たちが伴走して一緒に検証し、機能の実用性を一緒に判断していけるので、是非お手伝いさせていただければと思っています。
やはり、機能向上や改善のハードルが低くなったという点が、このシステムにリプレイスしたことで起きた変化だと思います。自前でサーバーを用意して構築すると、一つの新しい機能を作るのに何百万とかかる場合があるので、ほんの少しの改善でもかなりハードルが高かったのですが、今の仕組みではローコード/ノーコードで対応できたり、ユーザー側で設定できる部分も以前より増えているので、そういったところでの改善も期待できます。
スクラッチ開発のシステムの場合、変更をかけるとなるとどれぐらいの期間・規模になるのでしょうか?
開発する機能にもよりますが、3ヶ月〜半年で数百万円くらいはかかると思いますね。まずヒアリングを受けて、見積もりを出して、だいたい齟齬があったりするのでまたその繰り返しです。(よくあるスクラッチ開発だと)あまりトライ&エラーができないので、テストが上がってきて初めて実機を見て「なんか違うぞ」ということもあり、費用面だけでなく時間もかなりかかると思います。
このシステムリプレイスのプロジェクトの開始はいつ頃でしたっけ?
スタートは2021年7月で、リリースは2022年5月頃ですね。最初は、前のシステムはこんな感じですというのを少しお伝えしました。
従来のスクラッチシステムでは見え方なども含めてかなり作り込んでいたので、今回構築したシステム(Jira/Confluence)のほうでは、スクラッチと比べて制約があります。ある程度標準機能の中で頑張って要望を実現しているということもわかるので、これからもお互いに話をしながら、より良い形を見つけていってほしいと思います。
Jiraの標準機能で実現いただいているので、カスタマイズ要望に対してフルスクラッチに比べると圧倒的にハードルが低いというメリットを享受させていただいていると思います。フルスクラッチだと「それは実現が難しい」「費用が掛かる」といったやり取りをSEの人とすることがあるのですが、それが少なくなり、小西さんからもいろいろと提案をいただいているので、達成できることが増えた点が前のシステムとの違いだと感じています。標準的に備わっているもので作り上げていくというところが、フルスクラッチとの大きな差ですね。
カスタマイズが簡単にできるプラットフォームは、制約も多い。そのトレードオフの中でどう最適化して、より良い形を見つけていくかなんですよね。
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仕様上難しいことはどうしても出てきます。ユーザー側の運用でカバーするのか、サードパーティーのアドオンを使うのか、標準機能で見せ方を変えるのか、管理の考え方自体を変えるのか。その選択肢の中で常に最適な方向を探していく。これは日々地道にやっていくしかないと思っています。
リプレイスにより、社内でのコミュニケーションに変化はありましたか?
JiraやConfluenceを使っているので、そこにできるだけ関連する情報を載せていこうという意識の変化は、まだまだこれからですが感じています。TeamsやSharePointなど他のツールもありますが、Confluenceという情報を簡単に共有できるツールがあることで、内部のノウハウなどを関係者に見てもらうハードルが下がっているように思います。
Confluenceでは関連するドキュメント上でスレッド形式でサクッとやりとりしたり、Jiraだとタスクやワークフローのチケット上でやり取りができるので楽ですね。SharePointだとその上でやり取りできないので、どのツールで会話するか迷いますし、別で「ここに置いている文書についてですが」とメールを打つことをよくしていました。
あとは、カンバンという見せ方ですね。全プロジェクトが今どうなっているのか一目で把握できるのが大きなポイントです。弊社はソフトウェアだけでなくハードウェアも作るので、開発メンバーだけでなくSCMや製造など、様々な部署が製品の立ち上げに関して情報共有しなくてはいけない。どの商品が今どの段階にあって、日程的に遅れているのか、どれぐらい遅れているのかがカンバンで可視化され、非常に分かりやすくなったと思っています。
カンバン(ボード)はJiraの中でもぜひ活用してほしい機能ですね。ここのステップで滞留しがちだな、並行してこの2つが動いているんだな、と縦・横の位置関係をうまく使って視覚的に状況が分かるようになると、ステークホルダーに状況をスムーズに伝えられるようになると思います。
推進チーム内部での管理において、Confluenceは活用されていますか?
他のシステムの運用ノウハウや、技術者によく聞かれる内容をFAQのような形でまとめたり、運営管理メンバーで共有すべき内容・ノウハウをConfluence上でまとめて可視化しています。これまで属人的なノウハウがかなりあったのですが、それらを個人から引き出してチーム内で可視化・共有していくためにConfluenceを活用しようとしています。
きれいに作られていますね。テーブルなどのマクロをうまく使って視認性を上げられています。
以前はWikipediaのエンジンをそのまま乗せて使っていたので、Wikiの構文が取っ付きにくかったんです。ConfluenceはWordと同じような感覚で文章が書けたり、表が載せられたり、ドキュメントが添付できたりと、発信する側の技術的なハードルが非常に下がりました。今はみんなで技術者にとって役立つ情報を発信し、推進チーム内でも「お互い何をやっている人なのかわからない」状態を解消していこうとしています。
ページ毎にユニークアクセスがどれくらいあるかわかるビューがありますよね。
はい、Confluenceのアナリティクス機能ですね。
「ビュー数が上がっていないから、このページは少し変えた方がいいのかな」「子ページへの動線はどうかな」といったことを考えられるようになってきました。
ページアナリティクスを見ていると、コンテンツは技術の人だけが見ているわけじゃないことがわかり、違う視点からも情報を提供しなきゃいけないという気づきが出てくるんです。どういう人がコンテンツを見ているのかを気にするようになったのは、Confluenceのこういった機能ゆえだと思っています。
Atlassian製品でのお気に入りの機能は?
Confluenceのウォッチ機能ですね。ウォッチしているページが更新されたら、メールが飛んでくる機能です。これまで開発支援として、日程会議やデザイン会議の開催案内、結果報告などを個別にメールで送信していましたが、情報を求めている人に届かなかったり、特定のメンバーだけが受け取っていたりすることもあり、「必要な情報だけを取得したい」という要望がありました。
そこでウォッチ機能を活用し、技術関連およびDR関連のイベント情報や結果報告などをリアルタイムで知りたいユーザーは、自身で対象ページをウォッチすることで必要な情報をすぐに入手できるようにしました。現在、この効果を確かめているところです。
機能向上や改善のハードルが低くなった。それがリプレイスで起きた一番の変化だと思います。松本 和也 氏 / i-PRO株式会社 エンジニアリングマネジメントサービス
課題と今後の展望
今、どのような課題がありますか?
ITの観点で言うと、かなりの短期間で構築したこともあり、テンプレートのバリエーションがまだあまり多くない点ですかね。追加の開発イベントが出た際の対応や、不要なステップも自動生成されてしまうなどの課題があります。現在まさに改善を進めていて、ようやくもう少し改善できるところまで来ていると思っています。
運用の課題なのですが、JiraとConfluenceという2つのツールがある中で、Jiraをまだ活用しきれていない点ですね。技術部門のユーザーはConfluenceの文書管理やファイルのアップロードを主に利用していますが、Jira側のチケットも使って関係者とコラボレーションしたり情報共有するなどの活用がもっとできると思っています。ユーザーの方々と会話をしながら活用方法を周知し、標準機能をどんどん使ってパフォーマンスを上げてもらいたいと思っています。
今後どのような改善をしていきたいですか?
Confluenceに新しく「データベース」機能が出てきたので、コンテンツの視認性を向上させたり、同じ情報からビューを変えて閲覧できるようにするなど、うまく活用していければと考えています。
QMS的な観点では、より実態に合わせた形で品質を担保できるような改善を継続的に進めていかなくてはいけません。例えば、どのドキュメントがどの部門の人にどれぐらい見られているのかを見える化できるようになると、「このドキュメントは実際には活用されていないので作っても意味がない」といった判断ができるようになります。QA(品質保証)と協力しながら、そういう分析にも手をつけていけたらと思っています。
本日はお時間いただき誠にありがとうございました。
インタビューのまとめ
約9ヶ月で、QMS(ISO9001)対応の日程管理・WF管理・文書管理を Jira / Confluence に再構築
クラウド化により、海外拠点も含めたグローバルでのワークフロー回付・合議が可能に
ローコード/ノーコードで、スクラッチに比べ改善のハードルとコストが大幅に低下
カンバンやConfluenceのアナリティクス・ウォッチ機能で、情報共有と可視化が進展
今後は、テンプレートの拡充、Jiraチケットを使ったコラボレーションの浸透、Confluence データベース機能やドキュメント閲覧状況の分析によるQMS運用の改善を進める計画です。
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